「車が汚れているけど、手洗いする時間がない」そんなときに頼りになるガソリンスタンドなどの洗車機。
一方で「洗車機では塗装が傷付くのではないか?」「ワックスが油膜になるのでは?」という不安からなかなか手が出せない人も。
実際のところは、ただ使い方が間違ってるだけかもしれません。
手洗い洗車との違いを知って賢く使うための最新洗車機事情について解説します。
ワックス洗車と撥水コーティングの違いってなに?
そもそもワックスとは蝋や油脂のこと。車に使われるカーワックスはヤシからとれるカルナバ蝋が本来の意味でのワックスです。
撥水コート剤や鏡面コート剤は、フッ素やシリコンなどのより分子が細かなポリマー成分。
つまり両者は保護膜を形成するという意味では同じですが、それぞれは全くの別モノなのです。
洗車機のワックス洗車ってどうなの?
今では洗車機で簡単にワックスをかけることができます。
しかし本来カーワックスは非常に硬い固形の蝋。
洗車機でも施工して仕上げることができるように、ワックスとは違ったポリマー成分が使われています。
洗車機のワックス洗車
洗車機のワックスは持続期間が短い
固形ワックスは、雨などで取れやすい特徴があります。
ワックスの持続力というのは元々それほど高いものではないんですね。
ましてや洗車機でも扱えるように溶剤に溶かし込んだ柔らかいワックスに持続効果など期待できません。
艶がなくなってきたなと思った時がワックスの持続期間なわけで、人によって許容範囲が異なります。
洗車機で手軽さを追求した分、固形のカーワックスよりは持続期間は確実に短いですし、カーシャンプーなどで簡単に落ちてしまいます。
フロントガラスにワックスが付着して油膜に?!
ワックスとは蝋や油脂。つまり油そのものを塗っているので、意図的に油膜を作っているともいえます。
洗車機で油膜ができるのは、当たり前のことなのです。
雨の日のフロントガラスのギラつきを生む油膜は、半端に剥がれたり劣化したりした結果の賜物。
劣化の要因は、酸性雨や排気ガス中の油分との結合などが考えられます。
専用の除去剤を使う以外でも台所用洗剤でも油膜の除去は可能です。
劣化した油膜を除去したうえで、新しいワックスを均一にかけることで綺麗になるわけです。
ワックス洗車後の拭き取り作業は必須?
ワックス洗車では余分なワックスは洗い流されますし、また洗車機でも最後はエアーで水分を吹き飛ばす工程が入ります。
これが洗車機でいうところの拭き取り作業であるため、その後にわざわざ人が拭き取る必要性はそこまでありません。
残った水分に関しては走行風で吹き飛ばすのも有効なので、タオルでの拭き取り作業もなくなります。
わずかな水垢も残したくないのであれば、最後はやはり人の手によって拭き取りになりますが、あまりタオルで擦るようにしてしまうと磨きキズを作る原因に。
可能であれば吸水性の高い専用のタオルやクロスを使うのがベターです。
また洗車機と同様にコンプレッサーによって作られた圧縮空気をエアガンで吹き付けるというのも効果的です。
洗車機でワックス洗車をするならベストなタイミングは?
ワックスは劣化しやすく剥がれやすいもの。
劣化や剥がれたタイミングで再度洗車とワックスがけが行われるのがベストと言えます。
月一回ぐらいのペースが最適と主張する人もいますが、実際にはその車のコンディションによっても異なってきます。
花粉と黄砂が舞う春はワックスがけの際に、それらを汚れとして取り込みやすいので不向きです。
また夏は水滴が乾きやすくて水垢となりやすいため、綺麗に洗車を仕上げるのが難しい時期。
花粉や黄砂は念入りな洗車を行い、夏の水滴は素早い拭き取りを心がけましょう。
逆に花粉や黄砂は時期が来る前に、ワックスやコーティングを施すことで洗い流しやすくなります。
洗車機のワックス洗車って頻度はどれくらいが良い?
ワックスの劣化や剥がれの起きる頻度がワックス洗車をする頻度につながります。
頻度を左右するものは何でしょうか?
自動車整備におけるシビアコンディションという考え方で、普段利用している駐車場の環境を考慮してみます。
シャッター付きの車庫であれば日差しも遮り、雨や風で吹き込むホコリも防いでくれます。
車にとっては良い条件なので、月一回ぐらいのペースでもOKです。
これがカーポート、青空駐車となるにつれて、ワックスの劣化や剥がれが起きやすいシビアコンディションとなっていきます。
青空駐車の場合、ホコリが付着するので、一週間に一度ぐらいのペースでの洗車が望ましいですね。
洗車はワックスを落とす行為でもあるので、洗車回数もシビアコンディションとして考えられます。
以上のことを考慮し、最終的にはオーナーの判断で「月に一度、もしくは水洗い洗車2~3回につき一度はワックス洗車にする」というルールを決めるのも良いですね。
【最新事情】洗車機のおすすめメーカーやスタンドって?
洗車やコーティングのサービスというのは非常に多様化しています。
また近年の洗車機は高性能化し傷が少ないブラシタイプが増えています。
定期的な洗車と同時にコーティングを繰り返し行うことで効果が持続し、かつ強固なものになっていく特徴にも注目してください。
高いシェアのダイフク
洗車機で高いシェアを持っているのがダイフクの洗車機。
様々なボディ形状の車が増えるのに対応してセンサーを改良、ブラシの追従性を向上させています。
ブラシも非常に柔らかいものが使用されおり、大量の泡を使った洗車でキズもつけません。
さらに高圧洗浄機能や下部洗浄やホイール洗浄などの多彩なオプションメニューが選べます。
知名度があるBeauty
洗車機で行われるコーティングとして知名度が高いのは、Beautyの洗車機で行われるシリコン系コーティング「FK-2」。
ワックスよりも細かい分子で構成されており、車体に対する吸着性が優れています。
またこのFK-2を下地剤にして更に上からコーティングを施す「プリズムコート」や、FK-2に防汚成分を配合した「FK-2 HYPER」、HYPERの上からガラス系コーティングを施す「PRISM GLASS」などがあります。
洗車機のワックス洗車をする料金と時間
時間ないから洗車機 pic.twitter.com/rvzL0AAmV5
— ヨーグルト@ラウクレ余韻 (@ClariS1104) December 16, 2019
洗車機は作業時間の短縮と低コスト化を目的としたサービスなので、洗車時間は手洗いよりもずっと早くて安いです。
洗車機の機種にもよりますが、通常のカーシャンプーを用いた洗車コースを基準とすれば、料金は300~500円円、所要時間は2~3分程度。
ここにワックスやコーティングを行うと、300~1,000円程の追加料金と2~3分の施工時間が追加されます。
コーティング車は洗車場でワックス洗車しても良いの?
結論から言えば、「コーティングが完全に硬化している限り問題ないが、メリットはない」と言えます。
コーティングには完全に硬化するまでに必要な時間があるので、洗車機はおろか水に濡れることさえ控えなければならないものがあります。
コーティング剤が完全に硬化した場合、通常のカーシャンプーなどではコーティングは落ちません。
なのでワックス施工前のカーシャンプー洗車は問題にはならないのです。
ワックス自体はカーシャンプーで簡単に落るので、コーティング再施工の際にも邪魔になりません。
逆をいえばワックスをするメリットも無いと言えます。
親水効果のあるコーティングの上から撥水効果を持ったワックスを施せば、親水コーティングの意味が失われることに。
撥水コーティングにワックスを施しても同様で、コーティング剤が持つ強い撥水性はワックスによってなくなります。
花粉汚れって洗車機でキレイになる?
付着して間もない花粉汚れであれば、洗車機でも落とせます。
注意が必要なのは花粉が飛散する3~5月の時期にはそれ以外のものが飛散していることが多いことです。
ほぼ同じ時期に黄砂が日本に上陸し始めますし、スギ花粉より少し前の1~2月は雪道においてタイヤチェーン装着車による鉄粉の混じった粉塵なども多い時期。
鉄粉、黄砂、花粉はそれぞれ性質が異なっています。
塗装面に刺さった鉄粉は洗車機では落とせないので、事前に鉄粉除去剤で落とす必要があります。
黄砂は水を含むと粘土質の泥汚れになるため、通常の洗車コースでは落としきれずキズを残すことも。
事前に予備洗いとして、ノンブラシ洗浄や高圧水洗浄などのコースで洗車しておくと、キズが付くリスクが減らせますね。
ミニバンはやっぱり洗車機一択?!
ミニバンに限らずSUVやハイルーフの軽自動車が増えたことにより、ルーフ部分まで洗車の手が届かなくなってきました。
中には足場台を使っても中央部まで手が届かず、結局長い柄のついたスポンジブラシを使用するなんてことも。もちろんこれでは繊細な手洗い作業なんて望めるはずもありません。
であれば、洗車機を使うというのも一つの手段。
最新式の洗車機はブラシが非常に柔らかくなっており、下手に人が手洗いをするよりも洗車キズが少ないとまで言われます。
洗車をしないことのほうが塗装面にダメージを与えてしまうので、手洗いだけにこだわらず洗車機をうまく活用したほうが良いのではないでしょうか。
手軽な洗車機のワックス洗車にもデメリットがある!?
手軽でスピーディーな洗車機ですが、それでも限界があります。
やはりプロによる手洗い洗車の仕上がりにと比べれば劣ります。
硬くて塗りにくい固形ワックスが根強い人気があるのも、その光沢や色艶が違うからではないでしょうか。
デメリット
ワイパーのビビリはワックスが原因かも
ワイパーのビビリとなる原因はさまざまですが、洗車機によるワックスが原因というケースも。
人の手であれば必要のない箇所にワックスをかけることはしませんが、洗車機は車全体にワックスを塗布します。
その中にはヘッドライトやワイパーなどワックスを避けたい場所も含まれています。
ワックスは吸着性をもった油。これがワイパーにつくと油汚れが付着しているのと同じなんですね。
ワイパーについた余分なワックスはカーシャンプーや台所用洗剤でも落とせます。
ワックス洗車後にワイパーのビビリが発生した場合は、ワイパーを取り外して洗浄を行ってみてください。
それでもダメな場合はワイパーとワックスの相性が悪いので、「ワイパーを対応品に交換する」もしくは「ワックスを落とす」必要があります。
ワックス洗車で汚れを閉じ込めてしまうこともある
単純にワックス前の洗浄が甘いと、洗車機に限らず手洗い洗車でも汚れを閉じ込めてしまうことに。
洗車機の洗浄力は高まってはいますが、汚れの程度を判断してくれているわけではありませんし、少なからず洗い残しがあります。
またサイドミラーの様な部分は破損の恐れがあるため、洗車機では洗えない場所として指定されており、ブラシがよける設定になっています。
しかしながらワックスは、それとは無関係に塗布されてしまうのです。
ワックス洗車や撥水コートって本当に効果ある?
洗車機で行われるワックスや撥水コートも効果はあります。
ただし洗車機は手軽さを売りにしていますし、手洗い洗車ができない方に頻繁に利用して貰うことを目的としています。
また洗車機で使用されるワックスや撥水剤は、定期的に重ねることで効果が持続し層が厚くなるものを使用しています。
手作業で施工されるガラスコーティングのような、長期間に渡って効果が持続するコート剤とは、利用目的が異なっており比較にはなりません。
まとめ
洗車機による洗車の仕上がりに満足するかは人それぞれ。
洗車機の場合は少なからず洗い残しもありますし、細かな洗車キズができるというのは事実です。
ただし素人の人が洗車するよりはずっと綺麗に仕上がります。
プロによる洗車が3つ星であるなら、洗車機は1~2といったところ。
もちろん洗車機では洗えない場所には予備洗いや手洗いも必要となりますが、あらかじめ知っておけば洗車機と併用することで楽に洗車できます。
一番ダメなのは汚れを何もせずに放置すること。
放置するほうが洗車機による洗車キズ以上のダメージを生みます。洗車機と手洗いを使い分けながら綺麗な車に保つことが大切なのです。
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