2006年6月1日より、放置違反金と駐車監視員制度が導入され、駐車違反の取り締まりの方法が大きく変わりましたが、制度の変更と社会情勢の変化で重大な影響を受けている車両があります。
高齢化社会の進展で、訪問介護の車両を見かけることが多くなりましたが、介護車両が駐車違反の取り締まりを受けるケースに問題が起きています。
駐車違反の取り締まりの実情と、訪問介護車両の駐車違反の問題を検証して疑問にお答えします。
公共性の高い車両は駐車許可証が発行される
公共性の高い車両は、駐車禁止除外・駐車許可の申請手続きを行うことで、駐車許可証の交付を受けられます。介護車両は、公共性が高い条件を完全に満たしています。
許可証は、駐車禁止除外指定車と書かれ、車のナンバーやドライバーの連絡先も明記され、車の外からよく見えるダッシュボードなどに掲示します。
これで一安心と言いたいところですが、実はそうではないのです。
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駐車許可証の審査基準
駐車許可証を発行してもらうには、以下のような条件を守る必要があります。
駐車の日時
- 交通に危険を生じ、又は交通を著しく阻害する時間帯でない
- 用務の目的を達成するために必要な時間を超えて駐車しない
駐車の場所
- 道路標識等・法定の駐車禁止場所である事又はパーキングメーターなどが設置されている区間であること
- 無余地場所・駐車方法違反になる場所でないこと
- 無駐車により交通に危険を生じ、又は交通を著しく阻害する場所でないこと
駐車に係る用務
- 重量又は長大な貨物の積卸しは用務先の直近
- 上記以外の車両は、用務先からおおむね100メートル以内
駐車許可証の申請方法
駐車許可証の申請は、駐車しようとする場所を管轄する警察署、交番または駐在所に必要書類を提出します。
日時や用務の内容、駐車可能な場所があるか審査の上、警察署長が許可証を発行します。
ただ、交番や駐在所は警察官がいない場合など取得に時間がかかるケースがあるので、注意が必要です。
必要書類一覧
- 駐車許可申請書
- 申請する人の印鑑
- 駐車場所の見取り図
- 駐車する理由を記入した書面と資格証・計画書・身分証など(用務により必要書類が異なるので、警察署に確認しましょう)
- 車検証と免許証のコピー(運転者が複数のときは、全員の免許証のコピー)
駐車違反の正しい定義を覚えよう
駐車違反とはどういう状態が、ズバリお答えできますか?
駐車禁止のエリアにおいて、次の要件にあてはまると駐車違反となります。
- 継続して停車している状態
- 運転者が車両を離れていて、ただちに運転することが困難な状態
車が長い時間停まっていて、かつドライバーがいないためすぐに移動できない場合は、駐車違反とみなされると覚えておきましょう。
荷物の積み降ろしや人の乗り降りのため停まっている場合、5分を超えなければ問題ありません。
しかし車両を離れたところで積み降ろしを行うと、ただちに運転できない状態、即ち駐車とみなされます。
介護車両の場合、車を降りて介護が必要な人の自宅へ入ると、色々時間がかかり、車に乗せるまでに5分以上要することが考えられます。
訪問介護の車両は、すべて駐車違反になるのかという懸念が生じます。
厳しくなった駐車違反の取り締まり
2006年6月に駐車監視員及び放置違反金制度が導入されたことにより、取り締まりはさらに厳しくなりました。
それまでは、放置されている車にチョークで印をつけ、ある程度時間が経過した後でもう一度印をつけるという流れで取り締まりを行っていました。
駐車監視員と放置違反金制度が施行されると、時間の経過ではなく、車に誰もいなければ駐車監視員が直ちに確認標章を貼り、警察に出頭を求めるようになりました。
警察官の不足で、駐車違反に十分な警察官を投入できないという事情も影響しています。
取り締まりの方法に不満の声も
ほんの2~3分、電話をかけるために車を離れただけで取り締まりを受けたという実例もあり、介護車両はすべて駐車違反になるのでは?という心配はいよいよ拭えません。
駐車許可証は万能ではない
駐車許可証を交付されても、あらゆる場所で駐車が許可される訳ではありません。
駐車許可証があっても、横断歩道やバス停、交差点の近くで駐車すると駐車違反となります。
また、介護者の自宅の前に車を停めたために他の車が行き来できなくなる、いわゆる無余地の状態になってもダメです。
駐禁を貼られても点数は守れる?!
駐車許可証があっても違反となるケースは、警察のホームページで確認することができます。交付を受ける前によく確認しておきましょう。
まとめ
介護車両の駐車違反の問題は、あらゆる場所で駐車禁止が除外されるという誤解で起きているようです。
また、介護事業者や要介護者が、「あの場所は停めても大丈夫」と言っていたのを真に受けたら、実は駐車禁止エリアだったことも原因になっているようです。
許可証があっても駐車違反となるケースをよく確認することと、会社や要介護者が「大丈夫」と言っている場所は本当に大丈夫なのか、きちんと確認することが重要です。
現在の駐車違反は、認標章を貼る前なら取り締まることはないようです。
駐車許可証の記載事項の全体が見えにくいことで取り締まりを受けたケースもあり、許可証に書かれていること、特に連絡先は見えやすくしておいて、連絡を受けたらすぐに対応できるようにしておきましょう。
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