エンジンの異音は壊れる前兆?不安なる「カタカタ」や「カラカラ」の原因と対処法

普段から聞き慣れている車の音でも「最近、音が大きくなってきた気がする」「聞き慣れない音が出始めた」なんてことありませんか?

その異音は車の不具合を意味するものかもしれません。

放置すれば音は次第に大きくなり、不具合もより重症化することが考えられます。

聞き慣れない音は何が原因で出ているのでしょうか?

音の特徴から考えられる不具合の箇所と対処方法を解説していきます。

目次

エンジンから異音が聞こえる原因は?

そもそもエンジンはエネルギーを発生させる装置。

発生させるエネルギーには音も含まれており、言ってみればエンジンが動くから音がするわけです。

そんな音を出すエンジンの音が普段とは違う…?と感じたのであれば、何かしらのエンジンに関連した不具合やトラブルが考えられます。

エンジンルームから聞こえる異音には、部品同士の摩擦による金属的な音、ベルトやゴムが滑るような音、エンジン内部や周辺の液体が何らかの作用を受けている音、点火系の異常からくる爆発的な音などに分類されます。

金属がぶつかるような異音は、冷却系や潤滑装置の異常によるオーバーヒートの前触れの可能性があります。

オーバーヒートは最悪の場合、走行不能になり、エンジンを取り換える必要もあるので、すぐに点検してもらいましょう。

エンジンからよく聞こえる異音の種類と対処法

普段聞くエンジンの音とは違う音が聞こえた場合、故障の可能性があります。

とはいえエンジンは多くのパーツで構成されている物なので、不具合が出ているパーツによって出る音にも違いが出てきます。

異音の種類と対処法

キュルキュル(始動時/アイドリング時)

冬の寒い時期になると多くなるのがこのキュルキュル音。

とくに始動時に鳴ることが多く、アイドリングをしばらく続けると収まることがあります。

この場合の多くは、ファンベルトや発電機などを回すための補機ベルトの緩みや劣化によるもの。

ベルトの張りが不足していたり、ひび割れによって伸びたりしたことで、補機類のプーリーとの間で滑りが発生してゴムと金属が擦れることで音がするのです。

対処法としてはベルトの点検と調整。

ひび割れが無ければ張りを調整し、ひび割れている場合はそのまま使用し続けるとベルト切れの恐れがあるので交換を行います。

ベルト類の鳴き止めのスプレーもありますが、適切なベルトの張り調整がされていなければ効果は一時的なもので、その場しのぎと考えたほうが良いでしょう。

ガラガラ(アイドリング時/走行時)

エンジンでは回転する何かが上手く回っていない時にガラガラといった音がすることが多いです。

具体的にはウォーターポンプのベアリング不調、オイルポンプの不調による潤滑不良、発電器などの補機類の回転軸の不具合などが考えられます。

かつては金属製のタイミングチェーンの採用によってガラガラ音が出ることがあり、その音を消すためにゴムベルトによるタイミングベルトが採用されてきました。

それが近年では低騒音のサイレントチェーンを採用した金属製タイミングチェーンへの回帰の流れがあり、オイル管理が重要となりました。

いずれにしても冷却水やエンジンオイルの循環不良は、最終的にはオーバーヒートやエンジンの焼き付きなどを起こす可能性があるので注意が必要です。

タイミングチェーンは万が一切れれば、バルブクラッシュなどによりエンジンに重大なダメージを与え多額の修理費が発生することに。

警告灯などが点滅していなくても速やかにディラーや修理工場で点検整備してもらったほうが良いでしょう。

バスンバスン(アイドリング時/走行時)

アイドリング時にエンジンの回転数が不安定になりがちでエンジンも大きく揺れるような場合は、シリンダーのうちのどれかが点火不良を起こしている可能性が高いです。

燃料の噴射が止まっているケースもありますが、多くの場合はスパークプラグや関連する電気系の不調による失火だと考えられます。

部品の点検交換作業で直ることが多いので、あまり心配する必要はありません。

カリカリ・キンキン・カンカン

ディーゼル車のような音がガソリン車で聞こえた場合は、ノッキングを起こしておりオーバーヒートの兆候が表れています。

カリカリといった音はまだ軽微ですが、キンキン・カンカンと甲高い金属音になってくると重症に。

そのままではオーバーヒートでエンジンが焼き付くので、車両を止めてエンジンを冷やしてください。

キーン(走行中)

ハイブリッドカーや電気自動車であれば、モーター走行に伴って出る音の可能性も。

ハイブリッドカーや電気自動車は低速だと歩行者が車両の接近に気付かないという理由で、2010年頃のモデルより対策として疑似走行音が出るようになっています。

ある程度は正常と言えますが、音が異常に大きいようであれば整備工場にて見てもらったほうが良いでしょう。

ガタガタ(走行中)

こちらもハイブリッドカーによく見られる症状。音というよりは振動を伴った感じでもあります。

原因としてはエンジンマウントの劣化やハイブリッドシステムの不具合が考えられますので、整備工場にて点検してもらいましょう。

ゴロゴロ(アクセルオン時)

アクセルオンでのゴロゴロ音は、エンジン以外でも起こりえますが、オイルの不足や劣化による潤滑不足がクランクシャフトやコンロッドで発生していることが考えられます。

そのまま走り続けるとエンジンのパーツが焼き付いてエンジンブローを起こす可能性があるので、まずは安全な場所に停車してください。

オイルの量などを点検し、問題があればJAFや自動車保険のロードサービスを利用しましょう。

エンジン以外から異音が…どこが故障?

騒音の元というのはエンジンだけではありません。

エンジンからエネルギーを受けるパーツはいくつもあるので、これらのパーツからも音が発生する可能性があるのです。

エンジン以外の異音

排気系

エキゾーストマニホールドやマフラーなどの排気系は、エンジンで発生した高温の排気ガスの通路です。

排気ガスは高圧の状態で排出されるので、そのままでは大きな破裂音がします。

そのためマフラーにあるサイレンサーで消音されているのですが、サイレンサー部より前方に穴があると、そこからガス圧が抜け出てしまい「バンバン」「バリバリ」といった、破裂音の一部が漏れ出ることがあります。

ドライブトレーン

エンジンで作り出された運動エネルギーは最終的にはタイヤに伝えられて駆動力となります。

その駆動力を伝達するミッション、シャフト、デファレンシャルギアがドライブトレーン。

エンジンの回転はミッションとデファレンシャルギアにおいて減速さていきます。

よりエンジンに近い所では高音の異音が発生し、タイヤに近いところでは低音または振動として認識されるものにある傾向があります。

ブレーキ

ブレーキはタイヤの回転を摩擦によって熱エネルギーに変換することで減速しています。

言い換えればブレーキは回転するローターなどと擦れ合っている状態で、その擦れる際の音がブレーキ鳴きとして聞こえる場合があるのです。

ブレーキ鳴きは擦れ合う部分とのすり合わせが不完全なタイミング…つまり新品のパッドなどに交換した場合に起きやすいです。

新品パッドへの交換意外の要因でも音が鳴る場合があります。

ディスクブレーキのパッドには、摩耗状態を知らせるインジケーターが装着されており、摩耗が進むと金属片が回転するディスクと接触して音を出す設計になっています。

できればその音が聞こえる前に交換したほうが良いでしょう。

またABSを作動させると油圧ポンプによって発生した油圧により、「ゴゴゴゴゴ…」という低い音とともにブレーキペダルへの振動として伝わってくることがありますが、これはABSが正常に作動する際に発生するものであり故障ではありません。

ブレーキの異音

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サスペンションやショックアブソーバーなどの足回りは車の上下動の振動を制御していますが、その機能が損なわれることで、制御しきれなかった振動が音となって伝わってくることがあります。

段差を乗り越えた際に低くて響くような音がしたり、乗り心地が変わったなと感じたりしたらショックアブソーバーのガス圧やオイル漏れなどが考えられます。

またタイヤの回転軸の根元にあるハブベアリングの摩耗も不具合としてよくあります。

ハブベアリングの場合は、金属同士が擦れる「ゴーーーー」といった感じの低めの音がタイヤの回転速度に従って発生します。

ホイールナットも緩んでいると「ギシギシ」と言った音に始まり、やがて緩みが酷くなるにつれて「ゴトゴト」と振動を伴う音へと変化していきます。

異音がしたらプロへ相談しよう

いつもとは違う音の様なものが感じられたのであれば、それは異音、つまり故障である可能性があります。

不具合によって発生している異音は、放置しても直ることはまずありません。

むしろ次第に音や振動が大きくなっていくでしょう。

気になったことがあれば、最寄りの整備工場でプロによる点検整備をしてもらいましょう。

すぐ修理に持ち込めない状況だったら?

点検や修理で持ち込みたいけど、都合がつかないこともあるかもしれません。

でもその間にも異音は発生し続けているわけです。

異音が発生しているのをただ黙ってみているのではなく、持ち込んだ際に原因を特定しやすくする方法があります。

すぐ点検できない場合

異音が発生している状況をチェック

何かしらの不具合が発生していると相談された整備士は実際に車の状態をチェックしますが、その前に必ずユーザーからの問診で、どのような症状が出ているのかの確認をします。

ここでユーザーと整備士の認識を一致させないと、ユーザーが何に対して不快感があるのかを判断できないわけです。

逆に問診により具体的なコメントがユーザーから得られると、整備士としては不具合の原因を絞りやすくなるのです。

異音の場合であれば、以下のような具体的な内容が聞けるほど、不具合の現象確認がしやすくなります。

  • 音の高さや印象
  • 時速〇〇㎞の時から聞こえ始める
  • 各ペダルの踏み具合
  • ハンドル操作での異音の有無
  • MT車であればどのギアか
  • どのような場所で異音がしたのか

スマホで動画や音を記録する

異音が発生している状況をチェックしても覚えておくのは大変ですよね。

そんな時は動画などで記録されていると、後から確認ができて便利。

運転時の録画や録音ができる機器としてドライブレコーダーもありますが、代わりとして使えるのがスマホです。

使い方としてはスマホをスタンドに固定するか同乗者に持たせた状態でスマホのカメラで動画撮影をしながら運転をし、異音が発生するまでの状況を記録していきます。

この際に異音が発生した時の速度、アクセルやブレーキの踏み具合、ハンドル操作の有無など、カメラのレンズに映らない情報は実況して残しておくと、より具体的な情報として整備士に提供できます。

エンジンの異音に添加剤って効果ある?

カー用品店にはエンジンオイルに添加することで性能向上を謳っている添加剤が市販されています。

静粛性を高める効果を謳っている添加剤もあります。

では実際に添加剤は効果があるのか?ということですが、「効果はあるが、エンジンオイルの銘柄を変えることでも同様の効果は得られる」と言えます。

そもそもエンジンオイルは基本となるベースオイルに、何かしらの添加剤が配合されて製品として世に出回っています。

既存のエンジンオイルに別の添加剤を追加で入れるかどうかの違いでしかないので、エンジンオイルに含まれている添加剤と同じ成分であれば効果は一緒です。

安価なエンジンオイルを使っていても、そこに高価な添加剤を加えても、独自に高性能なエンジンオイルを作っているようなもの。

ただ目的に合ったエンジンオイルを探すよりも、添加剤を加える方が探す手間を考えれば楽かもしれません。そう言った意味では添加剤は便利グッズと言えます。

添加剤の効果が発揮されやすいのは新型よりも中古車の様な経年劣化したエンジンです。

酷使されたエンジン内部には汚れや摩耗が発生しているので、添加剤を使う事で効果が期待できます。

また普段乗り慣れた状態からの比較もできるので効果を実感しやすいのです。

異音防止には消耗品のメンテが大切

車には消耗品がたくさん使われていて、代表的なものがエンジンオイル。

エンジンオイルを変えるだけでも、エンジンの調子は大きく変わります。

無駄な音エネルギーの発生原因となる摩擦などが低減されれば、燃費もパワーも上がって音が静かな効率の良いエンジンとなるわけです。

またディスクブレーキのパッドには摩耗を知らせるインジケーターも装着されています。

あまり交換頻度は高くないですが、ブレーキパッドもまた消耗品。

車検整備の際にはパッドの残りの厚みもチェックされますので、多くの人はこのインジケーターが作動する前に交換を促されるはず。

車検後に音が鳴り始めてもパッド交換の際には再度分解整備の工賃が発生するので、結果として余計な出費が増えてしまいます。

電気系ではリレーやヒューズも交換の必要性が出てくることも。

とくにリレーなどは接点不良などにより、リレー自体から異音がすることもあればラジオなどへのノイズという別の形で不具合を出すことがあります。

まとめ

車の異音は異常を知らせてくれるサイン。

ある日突然鳴り始めることもあり、その音の原因も様々。

もし異音を感じた場合は、できる限り音や感じ方の特徴を掴んでおきましょう。

整備工場に相談した際に情報として提供できれば、よりスムーズな不具合の解消に繋がります。

走行中に何かの拍子に突然異音が発生することもありますが、多くの場合はメンテナンス不足が原因です。

異音が発生する前の点検整備を心がけることで、より安全に運転ができるようになります。

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この記事を書いた人

ブーまる編集部では、実際に車を売ったり買ったり、自分で直してみたり「やってみた」を大事にしています。中古車系記事の監修は、一般社団法人日本リユース業協会の実施するリユース検定に合格した「リユース営業士」が行っています。整備記事の一部は、現役ディーラーマンが監修や執筆を行っています。

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