夏のドライブで車のエアコンが効かないと大変です。
最近は猛暑日が増加して、ガラス張りの車内は高温になり熱中症の危険があります。
また夏は毎年のように、車内に置き去りにされたこどもが亡くなる痛ましいニュースを聞きますね。
エアコンが効かないとゾッとしますが、内部は高温高圧になるので技術がない一般のドライバーが対処するのは正直無理です。
しかし効かない原因を知っておけば、エアコンを使うシーズンの前に対策を立てやすく、万一故障した時も症状をわかりやすく説明できますよ。
万一の際、慌てず賢く対応してくださいね。
車のエアコンが効かない原因とは?
車のエアコンが効かない理由として、冷暖房それぞれある程度、原因が決まっています。
冷房か効かない時はエアコンの冷媒ガス不足または漏れ、もしくは空気を冷やすコンプレッサーの故障の可能性が高いのです。
暖房(ヒーター)はエンジン冷却水の不足、またはサーモスタットが故障すると温風が出なくなります。
エアコンが効かない原因
冷房が効かない原因
エアコンのが効かない原因として冷媒ガス量が不足していること、あるいはガス漏れが第一に考えられます。
他にはコンプレッサーが不具合を起こしている可能性が高いでしょう。
エアコンガスの漏れや不足
エアコンが効かない原因の一つにはガス不足、または漏れが起きていることがあります。
また冷媒ガスを補充しても漏れていると、冷たい空気が車内に送られません。
エアコン本体の内部は気密性が高く、本来は簡単に漏れることはありませんが、長く動かしている間に少しずつ漏れる場合もあるのです。
コンプレッサーが故障
冷媒ガス量が充分あるのに冷たい空気が出ない時は、コンプレッサー自体が故障していると考えられますね。
コンプレッサーは温度を冷やすのに必要で、故障したら新品か中古のリビルト品に交換する必要があります。
暖房が効かない原因
暖房が効かない原因はエンジン冷却水の熱を利用する特有の構造が起因し、冷却水が不足するとヒーターから温風が出ず効きが悪化します。
他にはサーモスタットの故障も原因です。
冷却水(クーラント)不足
暖房のメカニズムはエンジン冷却水の熱を利用しているので、何かしらの原因で冷却水が漏れたり不足したりするとヒーターの効きが悪くなるのです。
温風が出ないと思ったら、冷却水の量を確認してみましょう。
エンジン冷却水が入った白いタンクの「HI」「LOW」の間に液体があれば正常です。
また冷却水の不足はオーバーヒートの原因にもなるので注意が必要ですね。
サーモスタットが故障
エンジン冷却水がエンジンに流れて暖房から冷たい風が出たり、全く逆に熱風が出るなど暖房が効かない時はサーモスタットが故障しています。
エンジンを始動させたばかりの時は冷却水が温まっていないのでヒーターから温風が出ませんが、いつまでも温まらない時は可能性が高いですね。
サーモスタットは冷却水の温度を調節するので、故障を放置してはいけません。
症状で原因を考えてみる
エアコンの症状から原因を考えることも出来ます。
症状別に考えられる原因をまとめたので、気になったらディーラーなどに相談して下さい。
エアコンの効きが悪く風が「ぬるい」
コンプレッサーの圧縮不良が疑われます。
充分に液化しないため、気化する時に熱を奪うことが出来ず空気が冷えません。コンプレッサーの交換が必要です。
またエバポレーターのアルミフィンに埃などが付着して汚れると、冷えた空気の通り道が塞がれて生ぬるい風が出ることもあるので、アルミフィンを清掃しましょう。
急にエアコンが効かなくなった
急に効かなくなった時はエアコンガスの抜けが考えられるので、原因を特定するためにひとまずガス量を補充してもらい様子を見ます。
それで効けば大丈夫ですが、ガス量が充分入っていたら補充してもらえません。
他に原因があることになり点検が必要です。
エアコンが効いたり効かなかったりする
マグネットクラッチが動作不良を起こすと、エアコンが効いたり効かなかったりを繰り返します。
またエアコンのセンサーがガス量の不足を検知すると一旦効かなくなりますが、エンジンの回転が上がって圧力がエアコンをオンにするレベルまで上昇すると、再び効いてきます。
しかしガス量は本来減らないので、ガスが減るということはガス漏れの可能性がありますね。
エアコンから風がでない
ブロアファンモーター、レジスターという部品に不具合があるとエアコンから風が出なくなります。
またコンプレッサーが故障すると風量が弱くなることもありますよ。
カーエアコンの仕組みを解説
カーエアコンは家庭用エアコンと同様にヒートポンプ式の機構ですが、暖房は独特の仕組みなので冷房だけがヒートポンプ式という特色があります。
カーエアコンの仕組み
カーエアコンは故障しやすい?
カーエアコンは過酷な条件で使用されるため、故障しやすい傾向があります。
大きさは家庭用エアコンより小さい割に高出力が求められ、また走行中の振動を受けることも劣化しやすい原因です。
またエアコンは梅雨の季節には除湿、夏は冷房、冬は除湿機能でガラスの曇りを取るなど、結局は1年中稼働していることも経年劣化を招き、故障しやすい遠因となります。
意外と知られていませんが、燃費を意識するあまり冷房を使う頻度が少ないとマグネットクラッチが固着して故障しやすいのです。適度に使えば故障を防げますよ。
冷房の仕組み
液体が気化する時に周囲の熱を奪う「気化熱冷却」という性質を利用しています。
常温の高圧ガスを圧縮して液化し、気体に戻る際の気化熱冷却で空気を冷やします。
温泉で温まった後は体が冷えますが、付着した水滴が気化する時に熱を奪うのと同じ現象ですね。
暖房の仕組み
エンジンは元々熱を発生するので、冷房のように大がかりな仕組みは必要としません。
エンジンで加熱されたクーラントをラジエーター状の蓄熱器というパーツに引き込んだ後でブロアファンの送風によって、温められた空気が車内へ送られます。
車のエアコンが故障しているかチェックする方法
エアコンの故障は、最低温度にして最大風量で思い切り冷やす、または異音の有無、またはフィルターの交換でチェックする方法があります。
故障しているかチェック
最大で冷やしてみる
車内を思いっきり冷やしましょう。A/Cスイッチに切り替え、温度を最低温度に設定して外気導入に切り替え、風量を最大にしてしばらく様子を見ます。
車内がしっかり冷えれば大丈夫ですが、全く冷えなければガスの不足か、違う個所が故障している可能性がありますね。
異音で判断してみる
エンジンをかけた時、異音の有無でエアコンのベルトが劣化しているか、調整が上手くいってないかを判断する方法もあります。
車の電源を入れた状態でA/Cスイッチを入れた状態からエンジンをかけます。この時キュルキュルという異音が聞こえたら、ベルト交換が必要です。
異音の種類によって考えられる原因が異なります。
点検に持ち込む前に異音を聞き分けることができれば、その後の対策を立てやすく必要以上に事態を悪化させることを避けられます。
以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
エアコンフィルターを交換してみる
車種の年式や型式をチェックして、車種に合ったエアコンフィルターを用意します。
エアコンフィルターはカー用品店やホームセンターのカー用品売り場で手に入ります。ネット通販でもOKですよ。
交換方法ですが、殆どのエアコンフィルターは、助手席側の足元近くのグローブボックスにあり、ボックスの蓋を開けて固定しているアジャスターを引き抜き、左右のツメを外した後でボックスを下ろします。
ボックスを外した時、正面に見える箱の中にエアコンフィルターが入っています。
その後の交換方法は固定しているツメを外してフィルターを下ろしますが、新しいフィルターを設置する時は上下の向きが決まっていることに注意しましょう。
車のエアコンが効かないときの応急処置は?
ここでは、車のエアコンが効かないときにすぐにできる対処法をご紹介します。
応急処置
エアコンを入れ直す
車のエアコンが効かないときには、まず最初に行うべきことがエアコンのスイッチを入れ直すことです。
具体的には、車のエンジンをかけた状態で、エアコンスイッチをオンオフを繰り返してみます。
スイッチが壊れている場合は、スイッチを交換する必要があります。また、スイッチが正常に作動している場合は、エアコンの他の部品に問題がある可能性があります。
冷媒ガスの状態を確認する
エアコンが効かない時は原因を特定するため冷媒ガスを補充しますが、補充しても効くとは限りません。
しかしガスの状態をコンプレッサーのサイトグラスで確認する必要があります。
ガスの通り道を見る部品で、液体が流れているか気泡が出ているかが確認できますが、泡が白く濁っていればガスが減っています。一方で透明な泡だとガスが詰まっていますね。
コンプレッサーはエンジンの近くにある直径20センチほどの円筒形で、ガスを補充する必要がないのに動かない時はコンプレッサー自体が故障しています。
エアコンの冷媒ガスを補充する
車のエアコンは、冷媒ガスを通して空気を冷却します。しかし、使用状況によっては、冷媒ガスが漏れたり、不足したりすることがあります。
そのため、カーエアコンがうまく作動しない場合は、まずは冷媒ガスの補充を行うことをおすすめします。
冷媒ガスを補充する方法は、一般的には、ディーラーやガソリンスタンドに車を持って行き、プロに依頼する方法が一般的です。
しかし、DIYでも冷媒ガスを補充することは可能で、自分で冷媒ガスを補充するために必要なのは、冷媒ガスとホース、配管などの用品、工具です。
これらの用品は、オートバックスなどのカー用品店で購入することができます。
車のコンプレッサー故障を放置すると?
車には必須の装備の一つにエアコンがありますが、その中心部分であるコンプレッサーが故障してしまうと、冷媒ガスが送られなくなり、車内の温度を下げることができなくなります。
車のコンプレッサーの故障を放置しておくと、費用も高額になってしまいます。
そのため、車のコンプレッサーの故障が疑われる場合は、専門の業者やディーラーで早めに修理や交換を行うことが必要です。
車のエアコンがどうしてもダメなら修理
車のエアコンがどうしても効かない時は修理しかありません。
エアコンが夏冬に効かないと大変ですが、電装品なので修理方法はDIYで簡単に交換とは行かないからです。
ダメなら修理
プロならすぐに原因が特定できる
エアコンが効かないという相談は多く、プロは原因と修理方法をしっかり把握しています。
エアコンのトラブルは高温高圧なので一般の人が対処するのは難しく、プロに依頼することが無難です。
エアコンを使う最盛期は特に多いので、梅雨前に状態を見てもらうと良いですね。
ついでにエバポレーターやブロアファンモーターなど、クリーニングしてもらえばかなり快適になりますよ。
車のエアコンの修理費用はどれくらい?
業者に頼んだ場合、ガスの漏れを直す修理は20,000万円程度。補充は数千円くらいでできます。
コンプレッサーの修理は50,000円前後になります。コンプレッサーを中古のリビルト品に交換する場合は70,000円、新品に交換する場合は130,000円くらい見ておきましょう。
また、サーモスタットの交換は10,000円前後です。
どの部品も他に工賃が必要です。また車種や部品の規格、修理方法によっても多少変わります。
車のエアコン修理にかかる時間は?
エアコンガスや冷却水を補充するレベルでは2時間くらいですが、故障・交換の対応には数日〜1週間程度考える必要がありますね。
部品があればすぐ対応出来ますが、修理方法によりパーツを取り寄せると数日は必要になるからです。 急ぐ場合は電装の専門家に行けば在庫がある可能性があります。
修理は高額になりやすいので、事前に見積もりを取ることが無難です。
エアコンが効かないとバッテリー上がりの原因になることも
昔の車はエアコンが効かなくても走ることは問題ありませんでしたが、最近の車はエアコンなどの補機を一本のベルトで動かすサーベンタイン方式を採用しています。
この方式のベルトが切れるとエアコンが効かないだけでなく、バッテリー上がりを起こしたり、パワーステアリングが効かなくなったりと重大なトラブルに陥ります。
サーベンタイン方式のベルトが切れるケースは稀ですが、可能性はゼロではありません。
車のエアコン修理はどこでするのが良い?
エアコン修理はディーラー、整備工場、電装の専門家に依頼します。
ディーラーに依頼する人が多いと思いますが、業態別の特徴は把握しておくと良いですね。
エアコン修理はどこでする?
ディラーに依頼
ディーラーにエアコン修理を依頼するとかえって高くつくことがあります。
ディーラーは電装品の修理は苦手で、結局専門家への外注になるので中間マージンが発生します。
電装屋へ頼んだほうが安上がりですが、車の調子を尋ねられた時、簡単に頼みやすいのはディーラーのメリットでしょう。
整備工場に依頼
信頼している整備工場もお勧めです。街の整備工場は個人が少人数で経営しています。
工場長と顔馴染みなら、付き合いの程度によって値引きが期待出来ますね。ディーラーよりも安いのは大きなメリットです。
電装の専門業者に依頼
一般的にディーラーより安く出来る他に、ディーラーや整備工場以上に電装関連の技術力があります。
一部の業者はとっつきにくい場合もありますが、 整備工場と同じくらいの値段で出来るのはかなりのメリットです。
以前は修理の依頼はディーラーを通す必要がありましたが、最近では直接受け付ける業者も増えていることは覚えておきたいですね。
軽自動車は熱い?!エアコンが効かないときの対策
エアコンの冷房はコンデンサーの能力に比例しますが、軽自動車はコンデンサーの大きさが普通車の2/3くらいで、従って冷房能力も2/3です。
また軽自動車は出力を64馬力に自主規制しており、強力に冷やすには出力を相当上げないとコンプレッサーが駆動しません。
また車室のスペースが大きくても小さくても軽自動車のエアコンシステムは同じなので、スペースが大きい場合はどうしても室内の温度が高くなるのです。
対策はエンジンをかける前に窓を開けて熱い空気を逃がすと、エアコンがすぐ効きます。また車に乗る前にペットショップの水を屋根にかけると、打ち水の効果で温度が下がりますね。
走行中は乾電池式の扇風機を設置して、冷たい空気を送る方法も一案ですよ。
車のエアコンは走らないと冷えないのはなぜ?
走らないと冷えないと感じるのは、コンデンサーを通る空気の熱が高いことが原因です。
外気温が30℃以上の時、渋滞で止まっていると自分の車と周りの車の熱が混ざり合い、メーカー問わずどの車もエアコンの効きが悪くなりがちです。
対策はエアコンのスイッチを内気循環に切り替えると、高温の外気を取り入れないのでエアコンの効きが少し良くなります。
他にはサンバイザーを下ろしたり、横から太陽光が差し込む時は横向きにしたりすれば、多少は車内が高温になることを防げますね。
エアコンは常に故障リスクあり
エアコンは1年中稼動しているので故障のリスクがありますが、部品の交換は自分で簡単にとは行きません。
シーズン前にエアコンの状態をチェックしたり、たまには冷房を稼働させたりするのも故障を防ぐ手段です。
最終的にはプロに依頼することになりますが、エアコンが故障していないかチェックする方法として以下の3つは試すと良いでしょう。
- 冷房を最大風量最低温度で動かす
- 異音の有無
- エアコンフィルターの交換
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